中高生の生理痛への対処について
生理痛(月経時の子宮収縮痛)に関しては、その難儀さは当人でなければわからないために、個々にさまざま対応をとられていると思います。とくにこの年齢では、婦人科受診を躊躇することもあり、医学的対応が難しい年代ともいえますので、ついつい市販の痛み止めを服用しがちです。
婦人科医としては、(親御さんでもご姉妹でも付き添ってきていただくことをお勧めます)近年は、おなかの上から骨盤内を診察できる超音波診断装置がかなり精度をたかめたために、付き添いの方が傍らにいていただいて結構です。
一緒に画面を見ながら説明ができます。原則は、内診はいたしません。
超音波検査にて、子宮・卵巣などに明らかな異常が認められない場合には、
1:鎮痛剤の投与 2:漢方薬 3:低容量ピル、などの薬剤が選択できます。
1:鎮痛剤
市販薬にはさまざまな種類がありますので、現在使用中の薬を持参してください。医療施設でしか投薬できない鎮痛剤(内服薬・坐剤など)もあります。
適切な服用方法を指導いたします。
2:漢方薬
この種は、すぐに効果がある漢方薬と、比較的長い期間の服用で効果がみられる薬とがあります。詳しくは、医師の説明を受けてください。
3:低用量ピル
低用量ピルは避妊を目的として使用されていることが多いのですが、以前用いられていた中容量ピルに比較し、かなり微量のエストロゲンとプロゲストンを含んだ低用量ピルが約10年前より使用されるようになりました。この薬は、避妊以外にも、生理痛を減少させますし、経血量もかなり減少します。もちろん個人差がありますし、副作用として、頭痛や吐き気を感じる人もいます。
私はこれまで、旅行や結婚式、試験などのイベントに生理期間が重なることを避けることを目的として低用量ピルを使用するのは、せめて高校生以上の年齢に限ってきました。
ところが、平成28年1月24日久留米市で講演された北村邦夫先生(日本家族計画協会理事長)のお話しによれば、中学生あるいは初経まもない小学校高学年であっても、イベントをずらす目的で使用可能との丁寧なご説明です。生理にイベントが重なった時の不快感、周りにかけた迷惑など、男性には解らないようなつらいものがトラウマとして残ることはできるだけ避けるべき、イベントを快適にすごせることがどれだけ有意義か、というお話をうかがいました。但し、イベントの直前に来院されても対応できないことがありますので、2か月前くらいまでにご相談ください。
以上の3種の薬剤に関して、付き添いのかたにも詳しい説明をいたしますので、
婦人科を受診してみてください。